個人事業主がAIと一緒にOKRを設計してみた話

目次
  1. 先に本音
  2. なぜ、タスク管理だけでは足りなかったのか
  3. AIには、答えではなく整理を頼んだ
  4. 役割を分けると、決めることに集中できた
  5. 最初から、全部は作らなかった
  6. 個人事業主が始めるなら、まずこの3つ
  7. まとめ

先に本音

個人事業主にOKRは大げさではないか。最初はそう思っていました。

OKRは、目標と、その達成度を測る指標をセットで置く考え方です。大企業が何百人もの組織を動かすための仕組み、という印象もあります。でも実際に自分の仕事を見渡してみると、案件、発信、学び、日々の細かな用事が同じ場所に積み上がっていました。

やることは見えているのに、「これは何のためにやるのか」「今週いちばん先に進めるべきことは何か」が曖昧になる。そこでAIと対話しながら、OKRを設計してみることにしました。

結論から言うと、AIが正解を出してくれたわけではありません。けれど、考える役、確かめる役、最後に決める役を分けられたことで、経営の整理がずっとやりやすくなりました。

なぜ、タスク管理だけでは足りなかったのか

タスクはすでに管理していました。今日やることも、締切が近い仕事も一覧にある。にもかかわらず、朝になると全部を見直さなければならず、どれから手をつけるかで止まることがありました。

原因は、タスクが悪いのではありません。タスクと目的のつながりが見えにくかったことです。

たとえば「提案書を直す」「ブログを書く」「営業先を調べる」は、それぞれ重要です。ただ、売上につながる動きなのか、将来の仕組みづくりなのか、信頼を積み上げる発信なのかが混ざっていると、忙しいほど判断が鈍ります。

そこで、まず「今の自分は何を前に進めたいのか」を言葉にしました。個人事業主の場合、立派な経営計画書から始める必要はないと思います。四半期ほどの期間で、仕事の軸を絞る。それだけでも、日々のタスクの見え方が変わりました。

AIには、答えではなく整理を頼んだ

今回、AIには経営判断を任せていません。最初に頼んだのは、考えを引き出す質問をすることでした。

「いま困っていることは何か」「売上に近い仕事はどれか」「続けなければ将来困る仕事は何か」。自分一人で考えると、つい思いついた順に話が散らかります。AIとの対話では、質問に答えるたびに論点を分け、選択肢として並べ直せます。

そのうえで、OKRの案を複数つくりました。最小限の構成にする案、目標とタスクをしっかり結びつける案、さらに記録や週次レビューまで広げる案です。

ここで大事だったのは、AIが作った案をそのまま採用しなかったことです。「今の自分が無理なく回せるか」を基準に、必要なものだけを残しました。個人事業主の仕組みは、立派さより続けられることのほうが重要です。

役割を分けると、決めることに集中できた

この取り組みでは、AIごとに役割も分けてみました。当時は、対話と設計のたたき台をつくるAIと、設計をレビューするAIを別に置きました。

前者には、対話を通じて考えを広げ、設計の案を出してもらう。後者には、その案に抜け漏れや運用上の無理がないかを確かめてもらう。そして最後に、人間である自分が「どこまでやるか」を決める。この順番です。

とくに役立ったのは、「責任者である人間」と「実行主体であるAI」を分けて考える視点でした。たとえば、AIが下書きを作ったとしても、責任を持って確認し、外に出すかを決めるのは人です。この区別が曖昧だと、便利な仕組みほど不安になります。

AIを使うと、判断まで自動化したくなるかもしれません。でも小さな会社では、AIに任せる部分と、自分で決める部分を最初に分けておいたほうが安心して使えます。AIは考える量を減らすためではなく、判断に使える形へ整えるために使う。私にはこの役割分担がしっくりきました。

最初から、全部は作らなかった

OKRの設計を始めると、進捗率の自動集計やKPIの記録など、いろいろな仕組みを足したくなります。実際、作ろうと思えば作れます。

ただ、この段階では自動集計やKPIログは後回しにしました。最初から多機能にすると、記録すること自体が目的になりかねないからです。

まずは、目標を見返せること。日々のタスクがどの目標につながるかを確認できること。週に一度、手動で少し立ち止まり、次の一手を決められること。この三つができれば十分だと考えました。

経営管理もAI活用も、最初の型は小さいほうが試しやすいものです。続かなければ直す。使いにくければ減らす。うまく回り始めてから、必要なところだけ自動化する。この順番なら、仕組みに振り回されずに済みます。

個人事業主が始めるなら、まずこの3つ

もし同じように、仕事が増えるほど優先順位が見えにくくなっているなら、まずは次の三つだけで十分です。

  1. 今後3か月で前に進めたいことを二つか三つ書く
  2. それぞれに「できたと言える状態」を一つずつ置く
  3. 今週のタスクに、そのどれにつながるかを添える

AIには、目標のたたき台を作らせるよりも、質問役や整理役を頼むのがおすすめです。自分の言葉で答えるほど、目標が借り物になりにくいからです。

そして、最後に残すのは「何をやらないか」です。私自身も、機能を増やす案ではなく、軽く回せる案を選びました。小さく始めて、毎週見直せること。そのほうが、個人事業主の仕事には合っていると感じます。

まとめ

AIとOKRを設計して得た一番の収穫は、AIが経営の答えを出すことではありませんでした。考える、確かめる、決めるという役割を分けたことで、自分が判断すべきことが見えやすくなったことです。

AI活用も経営管理も、最初から完璧でなくて構いません。まずは今週の仕事が、どの目標につながるかを見えるようにする。そこから始めるだけでも、日々の動きは少し変わるはずです。

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井澤 剛士

デザイン経営ラボ丼 代表 / 中小企業診断士 / デザイナー

AIの進化についていくのは、正直しんどい。でも、使い続けることで見えてくるものがある。IT・システム営業20年の現場感と診断士の視点で、同じ悩みを持つ経営者に伴走しています。

💬 AIに経営を任せたわけではありません。考えることを整理し、判断に集中するためにAIを使ってみた記録です。

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